はじめまして。たなか農場の代表、田中武真(たなかたけま)です。
たなか農場は奈良県の北東部、大和高原の南端に位置する高原都市、宇陀市にあります。
標高は約350mあり四方を山々に囲まれた中山間地で、ひらけた土地は少なく、山の斜面に小さな畑や棚田などが広がります。大規模農業には縁遠いこの地は、古くは薬草の町として知られ、近年は冷涼な気候を活かした品質の良いほうれん草の産地として、また雲母というキラキラ光る鉱物を多く含んだ特徴的な土壌で作られる宇陀金ゴボウなどが知られます。
しかし、近年は少子高齢化が進み、深刻な担い手不足から、耕作を諦めてしまった農地が散見され、年々増えていくばかりです。私たちは、そうした大切な農地をお借りして、小さな農場を営んでいます。
私は三重県の片田舎の出身で、妻は大阪の街の出身ですが、縁あって同じ農業法人に出会い、私は社員として10年余り勤め、妻は研修生として農業を学ぶため、この地にやってきました。
結婚し、子供にも恵まれ、育児に奮闘する毎日のなかで、妻の農業への思いは日増しに強くなっていきました。私もまた、日々農業に携わりながら様々な地域課題、社会期待に直面する中で、一人の人間として、当事者として、小さくても強い農家になること、そして仲間を増やすこと、それらの集合体こそが地域農業であり、持続可能な地域社会を実現することができると信じ、2021年に独立して農場を始めました。
長きにわたる日本経済の低迷は、円安、資材高騰、物価高・・・。食料のみならず、国内自給力の弱さを改めて浮き彫りにしました。
身近にあるものを循環させて持続可能な生産を行うことが有機農業です。私たちは化学肥料に頼らず、化学農薬に頼らず、余計なことはしない。生産効率は悪いかもしれませんが、骨身を惜しまず、豊かな生態系の一部として共存共栄していける農業生産を目指します。
私たちを受け入れてくださった地域の方々、送り出してくれた仲間たち、これまで支えてくださった方、今なお支えてくださっているすべての方々に感謝します。
こども達、そのまた子供たちが、安心して健やかに暮らしていける未来へつながる農業を。